4/29 「完」

逃避行を始めてから一ヶ月が経った。 この歳になって、まさか女子高生よろしく記念日を意識するつもりはない。 乗る予定だったフェリーが高波の影響を受けて欠航続きになってしまっているので、足止めを食っている状態だ。 しかし、代案を考える気にもならず…

4/27 「松島」

松島に来た。 日本三景の一つ。言わずと知れた観光地──松島である。 松島と聞くと、真っ先に「松島やああ松島や松島や」の句を思い浮かべる人が大半ではないだろうか。僕もその一人だ。 これを詠んだのは松尾芭蕉ではなくて、田原坊だという説が濃厚らしい。…

4/26 「萬葉堂書店」

早朝に金蛇水神社へ、日中は萬葉堂書店に、夕刻には瑞鳳殿へと足を運んだ。 なかでも萬葉堂書店は、なにがなんでも行きたいと思っていた古書店。 それはもう期待以上だった。まさにユートピア。 地階の棚に並んだ古書の数々は本当に素晴らしくて──英知の女神…

4/25 「宮城」

まだまだゆっくりしていてもよかったけれど、毎日同じ場所で読書をするというのも面白みに欠けるので、昨日から宮城へと向かった。 福島はいいところだった。 いわきマリンタワー、猪苗代湖天鏡閣、鶴ヶ城、武家屋敷、さざえ堂等々。 なかでも一番印象深いの…

4/24 「占い」

少し前の日記で、占いについて話をした。そのときは、やや否定的な意見を述べてしまったが、占いの本質を誤解していたのかもしれない。 というのも、占いにおいて大切なのは、当たるか当たらないかというより、占いを信じることで生じる偽薬としての効果──プ…

4/23

図書館はどこも飲食禁止だ。 読書中はコーヒーが飲みたくなってしまうので、公園のベンチにでも座って本を読む方が僕には合っているのかもしれない──青空図書室。 画像は天鏡閣より

4/21

ファストフード店やネットカフェを探すまでもなかった。どうやら福島は風の強い地域のようで、車の窓を五センチほど空けておけば車内を一日中適温に保つことができた。 さて、ここのところ何かに追い立てられるかのように観光をしていた。 スライドショーの…

4/20

昨日、いわき市から会津若松市へと移動した。 いつの間にか強行軍での観光と化しまっている。疲労困憊だ。 急がなければならない理由はないのだが、ゆっくり過ごせる場所を見つけられず、あちこちを転々とする羽目になっている。 本当なら昨日は、猪苗代湖の…

4/18

茨城県から福島県へ移動した。今夜は、いわき市にある道の駅に車を停めている。 駐車場から砂浜まで徒歩五分の好立地だからか、車中泊の車がたくさん停まっている──停まっているではなく、泊まっていると表記するべきかもしれない。 せっかく茨城に来たわけ…

4/17  岩船山③ 日本三大霊山

栃木県から茨城県へと場所を移した。 車中泊生活にも疲れてきたので──働いてもいないくせに疲れたと口にするべきではないかもしれないか。 しばらく同じ場所に留まってゆっくりしようかと。それなら海沿いがいいなと。 そんな浅い考えに基づいての移動である…

4/15 岩船山② 日本三大霊山

神社に行く理由。 僕は信仰に熱心な人間じゃないし、パワースポットや占いというようなスピリチュアルを信じてもいない。 星の王子様の名言に「一番大切なことは、目には見えない」とあるけれど、僕は目に見えるものしか信じられない人間だ。 かといって、ス…

4/13 岩船山① 日本三大霊山

ここ数日、珍しいことに精力的に活動した。 足利学校、唐澤山神社、科学博物館、大谷資料館等々。いつか栃木県に行くことがあったら是非行きたいと思っていた場所を片っ端からまわった。 どの場所についても話したいことはたくさんあるけれど。僕がいつもの…

4/10

群馬県をまわった記憶が道の駅のことしかない。本を読むのが目的とは言え、いくらなんでも味気なさすぎる。 このままでは、いつか放浪生活を終えて、誰かに旅の思い出を語ろうとしても、銭湯の料金くらいしか土産話がないではないか──あとは大量の読書感想文…

4/8

悩んだ結果、群馬県沼田から栃木県日光へと向かうことにした。 けれど、いざ調べてみると、金精道路という群馬県片品村から日光市湯元までの区間が、4月25日まで冬季通行止めとの情報が群馬県のホームページに載っていた。 地図にはしっかりとした太い道で書…

4/6 ビスクドール

旅立つ前、ビスクドールを買った。 元々、人形が趣味だったわけではなく、何もわからないまま、姿形と価格だけで選んだ。というか、購入した今となってもビスクドールが何なのかよくわかっていない──フランス人形とは別物なのだろうか。 買った理由としては…

4/4

県内を北上し、群馬県沼田市にある「道の駅白沢」へと場所を移した。 沼田といえば、ウィンタースポーツの楽しめる地域として、関東に住む人ならば名前くらい聞いたことがあるのではないだろうか。 僕はウィンタースポーツを嗜む方ではないけれど──ただでさ…

4/3 旅の目的について

この二日間は、ずっと本を読んで過ごしている。早い時間に銭湯に入り、身体と脳をさっぱりさせてから休憩室で読書をするのは気持ちがいい。 この旅に目的地ないと前に言ったが、それでも一冊でも多くの本を読むことを目標にはしている。 本なんて家で読めば…

4/1

四月になった。 旅立ってからたった四日で月が変わるなら、四月一日からのスタートにした方が、キリがよくて格好もついたかと思ったが、形から入りたがるのは僕の悪い癖なので、これでよかったはずだ。 昨日から決めていた通り、今日は北へと進んだ。北とい…

3/31

同じパーキングエリアに長くいてよいものか、その辺のルールがわからないので──何で定められているんだ、道路交通法だろうか。 今夜を最後に次の場所へと移動しようと思う。 できれば北に向かいたい。ノーマルタイヤなので限界はあるかもしれないが。 この旅…

3/30

本当ならば、三月の上旬には出発する予定だった。今年の初めに仕事を辞めて、二月の末日にアパートを引き払って、そのまますぐに出発するつもりでいた。そのつもりでいたのだけれど、旅支度、身辺整理を終わらせるのに予想以上の時間が掛かった。 小説や映画…

3/29 逃避紀行

旅に出た。目的地はない。 人によっては、これは旅ではなく、ただの逃避だとそう言うのかもしれない。 それならそれでいい。 僕自身ですら自分が何をしているのかよくわかっていないのだから。まあ、自分が何をしているのか理解している人間なんて案外少数な…