4/29 「完」
逃避行を始めてから一ヶ月が経った。
この歳になって、まさか女子高生よろしく記念日を意識するつもりはない。
乗る予定だったフェリーが高波の影響を受けて欠航続きになってしまっているので、足止めを食っている状態だ。
しかし、代案を考える気にもならず──単にめんどくさい。だから、ぼーっと海を眺めて過ごすだけの日々を送っている。
まあ、考えごとをするには悪くない。
現実から、社会から、人間から、人生から、過去から、それらすべてから逃げるための逃避行。けれど考えてみると、ただ死に場所を求めていただけかも知れないと思ったりもした──うん。まあ言ってみただけだ。
明日で四月も終わるので、一旦日記をつけるのをやめようと思う。日記を遺していると、偽りの安心感、充実感、そんなくだらない錯覚に浸っている気がする。
もうとっくの昔に詰んでいるのに。今更、生温い安心に縋ってどうしようというのだ。
まあそれでも、まだ意味もなくだらだらと生き続けて、もし気が向くようなことがあったら──そのときは続きを語ろう。